2023年09月13日 12:00

針尾送信所保存調査特別公開(長崎県佐世保市針尾中町)

撮影日:2023(R5).09.09

『-灰塔の礎 出現-』

旧佐世保無線電信所(通称・針尾送信所)施設は、旧日本海軍が1918年(大正7)から1922年(大正11)まで4年の歳月と総工費155万円(現在の約250億円)の巨費を投じ建設した長波通信の送信施設である。

今はのどかなミカン畑に囲まれる敷地内には、高さ136mの鉄筋コンクリート製の無線塔が3基、300m間隔の正方形を形どりそびえ立ち、その中心部には鉄筋コンクリート造りの電信室が現存する。

昨年より建設から100年を経過し将来に向けての保存・維持に向けた実地調査が行われている。分かりやすく例えると文化財の健康診断で令和8年度まで実施される。
今回、詳細な図面等が現存しない136mの無線塔の基礎がどのようになっているのか、形状はどのようになっているのか、コンクリート内部の鉄筋の状態はどのようになっているのかを確認するため、建設から101年目にして初めての掘削調査が行われ、9月9日・10日の2日間に限り一般への特別公開が実施されたので見学してきた。

関心度も高く県外ナンバーの車も多かった。見学待ちの列が続く。
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1号無線塔と見学用デッキ。25名程度がデッキに上がり見学する。
文化財保護課担当者から分かりやすい説明を聞きながら地中を覗き込んだ。

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掘削は1号無線塔で地下6mまで実施。そこには強固な岩盤が存在し、その上に裏返した皿のような基礎が確認された。
また、コンクリートを10数センチ斫った部分(コンクリートの色が異なる部分)からは劣化することない鉄筋が確認されている。
塔136mに対し思ったより厚さ幅共に短い気がしたが、強固な岩盤と緻密な構造計算により微動だにすることなく塔は今も立ち続けている。当時の建築技術の高さを伺い知ることができる。

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調査終了後、掘削現場は埋め戻されるとのこと。
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戦争遺構であり近代化遺産。
土木、無線技術、歴史的にみて重要な施設、これからも大切に保存されることを願います。



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