2015年12月16日 09:01

青砂ケ浦天主堂(長崎県南松浦郡新上五島町奈摩郷)

撮影日:2015(H27).09.21.

『青砂ケ浦・・・。この美しい名前に誘われて』

2001年、国指定重要文化財となった青砂ヶ浦天主堂。
現在の教会は1910(明治43)年に建てられた三代目のものです。
青砂ケ浦天主堂9


建築に際しては、当時の大崎神父が外国から教会に関する書物を取り寄せ、煉瓦造りで2番目となる教会を手掛ける鉄川与助の設計施工のもと、信徒による資金捻出と労働奉仕により完成しました。



青砂ケ浦教会の正統的な建築構造や細部に渡る優れた意匠は、その後に建てられる煉瓦造り教会の基本となったと言われています。
青砂ケ浦天主堂4


正面入口の円柱とアーチなどには地元・頭ケ島周辺から切り出された石材が用いられ、煉瓦は川棚や早岐辺りから、木材は野崎島から運ばれたものが用いられているそうです。

葡萄の図案もさることながら、円柱にも木目模様を描く細工が施されているように見えます。
青砂ケ浦天主堂2


教会の守護者は「大天使ミカエル」。
献堂100周年を記念し、大きなミカエル像が捧げられました。手に剣と鎖を持ち、悪魔を踏みつけています。
青砂ケ浦天主堂7


正面扉の脇にもミカエルを描いた額があります。。
脇扉に描かれているJHSとはJesus Hominum Salvatorの略で、救済者イエスを意味しています。
ローマの教会や宗教画にも数多く描かれています。
青砂ケ浦天主堂1


平面は三廊式バシリカ型、内部は木造円柱で身廊と側廊に区切り、天井はリブ・ヴォールト天井。
左側廊の祭壇には大天使ミカエル像。
青砂ケ浦天主堂6


楽廊中央上部に大きなバラ窓、左右側廊にも小さなバラ窓。バラ窓を通った光は中央・左右の祭壇を照らし出すそうです。
近年、教会を使ったコンサートが各所で開催されていますが、演奏は祭壇近くで行われるものが多いようです。一段高い楽廊から聞こえる歌や演奏を聴いてみたいものです。
青砂ケ浦天主堂5


内部壁面は漆喰塗で、側廊窓には美しいステンドグラス。
西向きに正面入口が造られているので、午後の時間帯がより鮮やか光が堂内に差し込むようです。
青砂ケ浦天主堂8


護岸工事が行われ海辺の風景は当時と大きく変わっても、波静かな奈摩湾を見降ろす小高い丘の上に立つ教会は、今も変わらずすべての風景の中にしっくりと溶け込んでいます。
青砂ケ浦天主堂3


建築指導にあたった神父、設計施工を請け負った天才建築科家、日本と西洋を融合させた職人たち、そして何よりも先祖への思いを込めた神の家を自ら造り上げた信徒達。
これら全ての力が融合し、青砂ケ浦天主堂は今も美しく輝いています。




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