2014年11月09日

名犬矢間(雲仙市小浜町雲仙札の原)

撮影日:2014(H26).11.02

『雲仙に伝わる人と犬の強い絆』

忠犬ハチ公、タロとジロ、里見八犬伝、名犬ラッシーなどなど、人と犬の深い愛情や絆の話は多々ありますが、雲仙にも伝えたい話が残っているのでご紹介したいと思います。

小浜から雲仙に向かい、雲仙教会に入った道路沿いに名犬矢間の墓はあります。
義犬矢間1


名犬矢間

 雲仙湯元の犬矢間は、ご主人の加藤小左衛門正時から「矢間。お使いに行ってきておくれ」といわれると、手紙を風呂敷に包んで、首に巻きつけてもらい挨拶代わりに「ワン」と一声吠えて、喜んで三里(およそ十二キロ)の山道を越えて矢櫃にある八木家まで元気に走っていきます
 八木家について「ワン」と吠えると「おー、よしよし。矢間、ご苦労だったな」と当主が手紙を受け取ります。
 矢間は好きなご馳走を貰い、しばらく八木家の気持ちのよい屋敷の中でゆっくりと昼寝をして、返事の手紙を風呂敷に包んでもらい首に結わえてもらって雲仙にかえるのでした。
 急用があれば、雪の日でも雨の日でも矢櫃まで喜んでお使いに行くのでした。

ある暑い日。雲仙から矢間は、いつものように手紙を首に結わえてもらって矢櫃まで下って行きました。
 もうすぐ八木家に着く山路で、八木家の五つになる上枝(ほずえ)という娘が、真っ蒼になってじっと立っていました。その足元に真っ黒いカラス蛇が、いまにも飛びかからんばかりに鎌首を上げて上枝を睨んでいました。
 多分、上枝の毬がカラス蛇の寝ていた草むらの中に落ちたのでしょう。
 とたんに矢間は、上枝を助けようと「ワンワン」吠えながらカラス蛇にかかって行きました。びっくりしたカラス蛇は、草むらの中に逃げて行きました。
 「矢間!」上枝は泣きながら矢間にしがみつきました。八木家の当主は、上枝が矢間に助けられたことを感謝して手紙に書き添えました。
 
あるどんよりと曇った日。湯元の小左衛門は、法要の打ち合わせのため手紙を書いて浅黄色の風呂敷に包んで「矢間、ご苦労だが八木家に行ってきておくれ」と、矢間の首に巻きつけようとしましたが、すぐ喜んでお使いをする矢間が、どうしたことかこの日は、小左衛門正時の手をなめてなかなか風呂敷を結ばせません。
 甘えるようにご主人の目をじっと見つめていました。でも元気に一声吠えると走っていきました。
 矢間は矢櫃の帰り、札の原(昔湯元掟という木札が立っていたところ)というところで倒れておりました。首には風呂敷はありませんでした。
 きっと泥棒が、風呂敷に何か入っていると思ったのでしょう。矢間のお腹と頭にひどく叩かれたあとがありました。矢間は泥棒に風呂敷を取られまいと戦ったのですが、敵わなかったのです。
 もうすぐ湯元だったのに、矢間はどんなに悲しかったことでしょう。日ごろ可愛がってもらっているご主人に会えずに個々に倒れてしまったことを。

札の原の側に住んでいる人が、矢間を見つけましたが、もう死んでいました。
 知らせを聞いて小左衛門正時をはじめ湯元の人々も駆けつけました。皆、口々に「矢間。矢間」と言って哀しみました。
 「あんなに元気だった矢間が、こんなに変わり果てた姿になるなんて」皆で札の原に丁寧に葬りました。忠義で利な犬でしたので小左衛門は、『天明七年十一月二十四日名犬矢間の墓』と石に書き、山間の姿を石に刻み、札の原に建てました。今もそのまま建っています。

 これは二百年余り前の話です。

このお話は雲仙「湯元ホテル」公式HPの「湯元のはなし」から引用させて頂きました。
「湯元のはなし」には他にも興味深いお話が紹介されています → 湯元ホテル「湯元のはなし」

義犬矢間2


矢櫃は現在の南島原市北有馬町。矢櫃川、矢櫃公民館があります。
矢櫃川周辺は、江戸時代、島原の乱で地域住民のほとんどが死に絶えた後、幕府の政策により四国の小豆島より移住した公儀百姓、八木家が居住した地であり、八木家は、広大な農地、山林を所有・管理してきたそうです。

今日は忠犬ハチ公よりもずっと昔の伝え残したいお話でした。
忠犬という呼び方は、ハチ公から始まったそうです、その前は義犬と言われていたようです。

久しぶりの記事更新、今年も残りわずかになってしまいましたね。



chibitaro0102 at 22:10コメント(0)トラックバック(0)史跡  

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