2010年07月20日 01:13

唐比ふれあい牧場(諫早市森山町)


「絶滅の危機にある対州馬(たいしゅううま)」


長雨、集中豪雨で大きな被害を出した梅雨も終わり、猛暑の夏に突入しました。

皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。

さて、今月は何かと多忙な日が続き、更新も停滞しています。
そこで今日は以前より書こうと思っていた「日本在来馬」、その中でも長崎県対馬に残る貴重な「対州馬」について紹介します。

日本在来馬とは、洋種馬等の外来の馬種とほとんど交雑することなく残ってきた、日本固有の馬を指します。
現存のものは8種に分かれますが、その多くは個体数がたいへん少なく、絶滅が危ぶまれているのです。

resize0130

そんな在来馬の一種である対州馬が、毎年訪れる唐比ハス園に隣接する「唐比ふれあい牧場」で飼育されています。

今年は口蹄疫予防のため入園が制限され、「対州馬」に近づくことができませんでしたが、レンズを通して見る限り元気に暮らしているようです




今年の様子です(2010.07.10撮影)。
resize0131


以下、昨年訪れた際に撮ったものです。

対州馬の特徴は、体高は、107cm~136cmで、平均メス125cm・オス127cm位で小さい。
性格温順、粗食にたえ、負担力に富み、山路を上下するのに巧み。
蹄(ひづめ)が強靱なことが最も美点で、装蹄は行わない。肢蹄が強く険峻な坂路に最も適している。と言われています。

人間の姿を見るとすぐに近づいて来ます(寝っ転がっているのは牛)。
1ba535bb.jpg

a5c1cbd1.jpg

d3c83df0.jpg

「在来馬が減った理由」
明治以降、特に日清・日露戦争の後に、日本の馬匹改良は、国策としての軍馬増強に主眼が置かれ、馬格の大きい洋種馬との交配による大型化が行われました。
この大規模な「改良」の結果、多くの地方では短期間の内に純粋な在来馬が消滅するに至ったのです。

しかしそのかたわら、離島や岬の先端など、主として交通が不便な一部地域には、外国産馬(洋種馬)の血がほとんど入らず、かつての姿をよくとどめる馬群が、細々とではあるが残されました。そのような純血種に近い馬群8種を、日本馬事協会が「日本在来馬」として認定し、現在まで保護にあたっています。

8つの馬種は品種であり、遺伝子的には地域個体群程度の差しかないが、それぞれに特徴があり、体形が異なります。


在来馬8種の直近データ(日本馬事協会による)は下記のとおり。

馬 種
地 域
体 高(肩までの高さ)
頭数(注)
備 考

北海道和種(俗称:道産子)
北海道
125-135cm
1,248

木曽馬
長野県木曽地域 (木曽郡開田村)、岐阜県飛騨地方
125-135cm
149
長野県天然記念物

御崎馬
宮崎県都井岬(串間市)
100-120cm
113
国天然記念物

対州馬
長崎県対馬(対馬市)
125-135cm
31

野間馬
愛媛県今治市野間
110-120cm
84
今治市天然記念物

トカラ馬
鹿児島県トカラ列島(鹿児島郡十島村)
100-120cm
110
鹿児島県天然記念物

宮古馬
沖縄県宮古島(宮古島市)
110-120cm
31
沖縄県天然記念物

与那国馬
沖縄県与那国島(八重山郡与那国町)
110-120cm
85
与那国町天然記念物

注:頭数は、平成19年度(2007年)(社)日本馬事協会調べ(各保存団体報告地)
保存地域外の飼養頭数を除く


かつて対馬では農家1戸で平均牛馬2頭を飼育し、牛馬の飼育と馬による運搬は女性の役割であり、牛を使った農耕は男の仕事でした。
明治・大正時代は4千頭近くいた対州馬も、現在は30頭。
農業の機械化、道路整備の進行等々、対州馬は急激にその数を減らしています。

また、対州馬は対馬のみならず斜面に暮らす長崎人の日常や、機械化される以前の炭鉱でも重要な役割を負っていました。

新しく「対州馬」のカテゴリを追加し、今後も紹介できればと思っています。

今年は、対馬の牧場や個人の馬小屋、佐世保の動植物園などで仔馬が生まれた!と、嬉しいニュースが伝わっています。


トラックバックURL

コメント一覧

5. Posted by ちび太郎   2010年07月27日 23:23
ハヤブサ様

「waranayaの里子」は本当にかわいい奴ですね。
素直というか、人を信じていますね。
コーヒーを頂くより、里子のつぶらな瞳に会えることがいつも楽しみです。
軍艦島ガイドの中で、馬が荷を運ぶやさしい町である長崎を紹介されているとのこと、
コンクリートや黒い石だけでなく、人の暮らしを伝えないと見えてこないものがあると
私も感じます。
いつもコメントありがとうございます。
4. Posted by ハヤブサ   2010年07月24日 21:54
2枚目の説明にありますが、「人を見ると近づいてくる・・・」というところが、この対州馬の最大の魅力ですよね。waranayaの里子も、まるで犬のように人なつこく、細やかな性格をしています。これらの在来馬がかつて戦場や炭坑の奥底で使われたという史実には本当に胸の痛い思いがします・・・。
私事ですが、軍艦島ツアーの船上でガイドをする時、長崎の町並みを差しながら、対州馬が荷物をしょって坂道を登る写真を見せ、「昨年の2月までは最後の1頭が頑張って坂道を登っていました」とゲストに紹介をしています。
3. Posted by ちび太郎   2010年07月21日 23:14
サルルさま

こんばんは。
馬の目をみると、いつも優しい感じを受けます。
牛・馬は人間の生活と共にあった動物なのに、人間のライフスタイルの変化に置き去られてしまいました。
日本に昔からいる「在来馬」は、記憶からも消え去ろうとしています。
長崎の坂道で、重い荷を背負い活躍していた対州馬を懐かしく思い出します。
2. Posted by ママモニ運営事務局   2010年07月21日 16:40
ちび太郎様

はじめまして!突然のメールで、失礼いたします。
私は長崎市万才町にあります、エフピーシー ママモニ運営事務局と申します。
この度、私どもママモニ運営事務局では、「女性のチカラと社会を繋ぐ活動型サイトmama-moni」の新規開設に向けて、只今準備中です。
ママモニは全ての女性を対象に、女性を応援し、女性が活躍できるきっかけづくりを基本コンセプトとして、地元テレビ局や、専門家、地元企業の皆様とともに、女性を中心にサイトを運営してまいります。
また、長崎をみんなで盛り上げていけたらとの想いから、長崎の魅力再発見と題しまして、長崎の素晴らしさを発信されているブロガー様に、お声を掛けさせていただいております。

この度、ちび太郎様の諫早情報満載なブログを拝見させて頂き、ぜひ、当サイトからのブログリンクをお願いしたいと思い、メールさせていただきました。
現在、当サイトトップ画面は準備段階のため、一部のご紹介のみ公開しております。
画面の真ん中に「長崎の魅力再発見」というタグを選択していただくと、壁紙がグリーンのハートトップページが表示されます。その地域ごとに、ブロガーさまのご紹介をさせていただき、ブログタイトル、ブロガー名、最新記事が掲載されます。サイトトップ右上に「ママモニとは?」という基本コンセプトを一度、ご確認いただき、リンクのご検討をお願いしたいと思います。
http:// www.mamamoni.com 
リンクに応じていただける場合は、その後、詳細についてご案内させていただきます。
大変、お手数ですが、リンクのご回答は、下記までお待ちしております。
e-mail : conf@mamamoni.com 
有限会社エフピーシー ママモニ運営事務局
1. Posted by サルル   2010年07月20日 18:17
こんにちは
馬は可愛いですね。病気移ったら大変ですので仕方ないソチですね。
危険になったら対馬に島流し?して避難させるしかありませんからね。早く収まるといいですが。。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
最新コメント
月別アーカイブ
記事検索
プロフィール

ちび太郎

QRコード
QRコード
ランキング
人気ブログランキングへ

にほんブログ村 地域生活(街) 九州ブログ 長崎県情報へ
にほんブログ村

・本HPの写真・図等の転載・転用等は禁止しております。

・メールでの連絡は下記へどうぞ! 
chibisaruku@yahoo.co.jp



  • ライブドアブログ